次世代DVD規格戦争終結 ソフトの時代を感じる

日本時間で土曜日の夕方、2/16ですが全世界最大の小売店ウォルマートが、HD DVDソフトの取り扱いをやめる発表をしたとたん、各紙WEBに東芝がHD DVDから撤退を検討との記事が踊り、びっくり。
年末に、米ワーナーブラザーズがHD DVDを離れBlu-ray一本化を表明し、年明け1月第2週の北米のプレーヤ売上は92.5%をBlu-rayが獲得したようです(日経新聞08/2/17)。ワーナーブラザーズがBlu-ray一本化を表明した時点で、北米DVD市場でのソフトメーカー別シェアでBlu-rayは70%弱(日経新聞08/1/5)と圧倒的なシェアの開きが生まれていました。今回の規格戦争は、ユーザーが選択する前に、コンテンツ会社が動き、戦争を終結させた新しい例といえるかもしれません。また、コンテンツメーカーが、起こりうる今後のネットワーク効果を先取りしたとも考えられます。
ネットワーク効果といいますと、昔のVHS対βの戦争がよく取り上げられます。当時はテレビの録画がデッキ購入のきっかけで、補完財であるテープが安いとか、長時間録画できるとかそういう差などから、どちらの方式にするか決めていたような気がします。そのうち、録画を友人に貸したりすることが一般化し、自分の周りがどちらを持っているかが重要になり、次第に、VHSが優勢になって、1990年代初頭、一般家庭からβが消える状況になったと思います。そう言えば、当時、レンタルビデオ店へのセールスをやっていたのですが、まだ、βの受注をやってました。
1980年代の後期、急速にレンタルビデオ店が増え始め、この時、両方のタイプを揃えないといけないレンタル店は、客の流れを見て、次第にVHSの割合を増やしていたと当時の店の主人が話ていた事も思い出します。そうすると、在庫が沢山ある方にユーザーも傾いていくんですね。
まさしく、ネットワーク外部性(ネットワーク効果)という概念の説明でよく使われる事例です。片方のシェアに傾き出すと、見るみる、そちらにシェアが傾いていくという概念です。
ゲームソフトやビデオソフトの普及で、それまで、ハードの性能や価格で規格競争が決まることが多かった時代から、その機械で使えるソフトがより多くある、キラーコンテンツを持っているなど、補完財側の重要性が増す時代に変化しました。ソフトの重要性に気付いた好景気に沸く当時のバブル日本は、SONYのコロムビアピクチャーズ、松下のMCAなど、ハリウッドへの投資を行い、ソフトの確保を進めてきました。失敗・成功いろいろありましたが。
ポストVHSで注目されたのが、DVDの規格戦争です。VHSとβで懲りたのか電機メーカーは、比較的スムーズに規格を統一し、市場に混乱は起きませんでした。
しかし、次世代DVD規格では2方式が対立したまま、市場に投入され、今ひとつ普及しない状況を作ってきました。ワーナーのニュースを見て、それまで半々だった北米での販売シェアが、一気に92.5%をBlu-rayが占めるにいたった背景は、ユーザーがコンテンツによって動くことを改めて証明した結果と言えるでしょう。今回の報道により、さらにBlu-rayのシェアは高まることが予想されます。
今年は北京オリンピックです。それまでに決着を着け、市場拡大を狙っていただきたいものです。あと、ダビング10も早期決着を願います。