お粗末な行政当局 1953年公開の映画「著作権切れ」に

昨日の司法判断で、1953年公開の映画の著作権は、文化庁や内閣法制局が当初想定した、新法が適用されないことになった。(あくまで一審)
 くわしくは、waskaz newsblogを参照。
最近、街中でDVDが安く売られています。
これには2種類あって、権利者がちゃんと安く売っているタイプと、今回争点になっている、パブリックドメイン作品。あとは、いわゆる海賊モノ。
パブリックドメインとは、著作権が切れ誰もが自由に使える著作物のことを言います。日本では、映画は公開後70年間。作詞・作曲は作者の死後50年間。アメリカで映画は95年の間に渡り著作権が保護されます。
 著作権保護についてくわしくは、
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 著作権の保護期間へ
そこで、今回の法改正。それまでは、映画の著作権は50年だったのです。それも、著作権は年単位で管理されるので、1953年に公開された「ローマの休日」や「東京日和」は2003年12月31日で著作権が消滅することになっていました。
 1952年公開の「風と共に去りぬ」や「ひめゆりの塔」は消滅しているってことですが。
しかし、2003年6月に成立した新法で、2003年末でパブリックドメインになる作品を含め(まだ著作権が存在するもの)70年に変更することになった。でも、法律には、2004年1月1日に著作権が存在するものとなっているんです。普通に考えりゃ、12月31日に切れるんだから、1月1日は既にパブリックドメインだろうと。
でも、文化庁さん、内閣法制局さんは、著作権の有効は12月31日午後12時と判断。1月1日0時と同一だから、1953年の作品は保護されると。これだから法律屋の考えることは超常的と思ってしまう。
だいたい、午後12時なんて、前の法律に書いて無いわけで、1月1日には切れてるわけです。時間をいくら微分しても、11次59分59.xxxxxx秒と0時0分0秒とは異なるでしょう。
ここで文化庁の言い訳がまただらしない。「1971年、前回の法改正の時は問題になりませんでした」と。そりゃそでしょ。その時は、ビデオも一般には普及していないですし、だいたい、映画のフィルム自体世の中で一般的に販売されていないんですから、問題になることなんて。
とりあえず、1953年公開の映画はどこかのDVDを買ってきてコピーして販売しても犯罪にならないと言うことになりました。
さて、これから控訴審。ひっくり返るのでしょうか。見モノです。
私は、映画・音楽などのエンターテインメント産業が興隆するのは良いと思いますが、権利を確保し続けるのはどうかと。
良い文化は市民に開放され、共有されるべきだし、その活用もなされるべきである。
しかし、これだけエンターテインメント産業が発達すると権利も主張したくなるのもわかるんですが。
EUでは、2004年に50年から延長することを断念しているようです。やはり、文化論が優先された結果か。豊かな文化とはなんでしょ。
間違ってましたら、コメントを!!